こんにちは。宮崎の社会保険労務士、宇都陽一郎です。
先日のコラム(第1回)では、2025年に改正された育児・介護休業法の「全体像」についてお話ししました。
今回は、その3つの柱のうち、「育児支援の拡充」について、詳しく解説します。
「すでに対応済み」という経営者様も、対応漏れがないか、ぜひ一緒にチェックしていきましょう。
ご安心ください。この記事を最後までお読みいただければ、育児関連の新ルールが明確になり、就業規則が正しく更新されているかを確認できます。
1. 「子の看護休暇」の新ルール(施行済み)
まず、子育て中の従業員にとって、最も身近な「子の看護休暇」です。
この制度は、大きく3つの点で変更されています。
① 対象となる子の年齢が「小学3年生まで」に拡大
改正前は「小学校入学前まで」の子どもが対象でした。
しかし、新ルールでは「小学校3年生修了まで」の子どもを養育する従業員まで拡大されています。
② 休暇を使える理由が追加
以前は「病気・ケガ」や「予防接種・健康診断」が主な理由でしたね。
現在は、これに加えて以下の理由でも休暇の取得が認められます。
- 感染症に伴う学級閉鎖 や学年閉鎖など
- 子の入園式や入学式、卒園式
これに伴い、法律上の名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変わっています。
③ 「入社6か月未満」の人も対象に
以前は、労使協定(会社と従業員の取り決め)があれば、「入社6か月未満」の従業員を対象から外すことができました。
しかし、この規定は廃止されました。原則として入社したばかりの従業員(※)も休暇を取得できるようになっています。
※なお、「週の所定労働日数が2日以下」の従業員は、これまで通り労使協定によって対象から外すことが可能です。
2. 「残業免除」の対象が「小学校入学前まで」に拡大
次に、従業員からの申し出があった場合の「残業免除」の制度です。
この対象も、改正前の「3歳未満の子」から、「小学校就学前の子」を養育する従業員へと拡大されています。
例えば、宮崎市内でカフェを営むAオーナーの場合…
スタッフのBさん(お子さん:4歳)から、「子どもの保育園のお迎えがあるので、残業の免除をお願いしたいです」と申出がありました。
- 【現在のルール】
Aさんは、Bさんのお子さんが小学校に入学するまで、原則として残業を免除しなければなりません(※事業の正常な運営を妨げる場合を除く)。
3. その他の育児支援(施行済み)
さらに、以下の点も変更となっています。
- 3歳未満の子の「短時間勤務」が難しい場合の代替措置に「テレワーク」が追加
3歳未満の子を持つ従業員には「1日6時間」の短時間勤務が基本です。しかし、業務の性質上それが難しい場合の代替措置として、「テレワーク」が選択肢に正式に追加されました。 - 育児のための「テレワーク」導入が努力義務に
3歳未満の子を養育する従業員が希望すればテレワークを選択できること。このように、必要な措置を講じることが会社の「努力義務」(できる限り努力しましょう、という義務)となっています。
今回のまとめ(宮崎の経営者が今すぐチェックすべきこと)
このように、育児支援のルールが新しくなっています。
経営者の皆様に今すぐ確認していただきたいのは、やはり「就業規則の見直し」が完了しているか、という点です。
- □ 「子の看護休暇」の規定は更新済みですか?
- 対象者の範囲は「小学校3年生修了まで」になっていますか?
- 取得理由に「学級閉鎖」や「入学式」が含まれていますか?
- 「入社6か月未満の者を除く」という古い記述が残っていませんか?
- □ 「残業免除」の規定は更新済みですか?
- 対象者の範囲は「小学校就学前まで」の子を養育する者に更新されていますか?
法改正への対応は、従業員に安心感を与え、宮崎での貴重な人材の定着にもつながります。
次回は、今回の改正で最も重要ともいえる「介護離職防止」について、会社に課されている新しい「義務」を詳しく解説しますね。
もしご自身の会社の就業規則の対応にご不安な点があれば、うと社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。