こんにちは。
宮崎の社会保険労務士、
宇都陽一郎です。
夏の賞与を無事に振り込むと、
社長も担当者もほっとしますよね。
社員への賞与明細も渡した。
銀行振込も無事に終わった。
「今年の賞与業務も終わった」
そう思いたいところです。
しかし、少しだけお待ちください。
社会保険の手続きは、
まだ終わっていません。
賞与を支給した会社は、
原則として支給日から5日以内に、
賞与支払届を提出します。
今回は、賞与支給後に必要な手続きを、
宮崎の経営者の皆さまへ解説します。
寸志や特別手当の扱いも、
一緒に確認していきましょう。
賞与の振込後に必要な手続き
賞与支払届とは?
社会保険に加入する従業員へ、
賞与を支給した場合があります。
会社は日本年金機構へ、
賞与の支給額などを届け出ます。
この届出が、
「被保険者賞与支払届」です。
届出をもとに、
賞与の社会保険料が決まります。
つまり、振込を済ませただけでは、
賞与業務は完了していません。
賞与支払届を提出して、
ようやく一連の業務が終わります。
提出期限は支給日から5日以内
賞与支払届の提出期限は、
原則として支給日から5日以内です。
たとえば、7月10日に支給した場合。
提出期限は、
原則として7月15日です。
提出方法には、
電子申請、郵送、窓口があります。
給与計算が終わった段階で、
届出まで準備しておくと安心です。
「振込後に考えよう」とすると、
意外と5日は早く過ぎます。
賞与を支給した安心感から、
届出を忘れないようにしましょう。
誰が届出の対象になる?
基本的な対象者は、
社会保険に加入している従業員です。
正社員だけではありません。
社会保険に加入している、
パート従業員も対象になります。
役員へ賞与を支給した場合も、
届出が必要になることがあります。
また、一定の要件を満たす、
70歳以上の従業員も対象です。
年齢だけを見て、
対象外と判断してはいけません。
支給者一覧を作ったうえで、
加入状況を確認しましょう。
賞与を支給しなかった場合
賞与支払予定月として、
日本年金機構へ登録している月があります。
その月に賞与を支給しなかった場合は、
賞与不支給報告書を提出します。
「支給していないから届出もない」
そう考えやすいところです。
しかし、不支給の場合にも、
確認が必要なことがあります。
毎年の賞与支給月を変更した場合は、
登録内容も見直しておきましょう。
間違えやすい賞与計算のポイント
千円未満は切り捨てて計算する
賞与の社会保険料は、
標準賞与額を使って計算します。
標準賞与額とは、
賞与総額から千円未満を切り捨てた額です。
たとえば、賞与の総支給額が、
30万8,750円だったとします。
この場合の標準賞与額は、
30万8,000円です。
30万8,750円ではありません。
この標準賞与額へ、
各保険料率を掛けて計算します。
わずかな違いに見えます。
しかし、従業員が多い会社では、
修正作業も大きくなります。
最近のソフトは優秀ですが給与計算ソフトを使っていても、
計算結果は必ず確認しましょう。
退職予定者へ支給する場合
退職予定者への賞与は、
特に注意が必要です。
確認するのは、
賞与支給日だけではありません。
退職日と資格喪失日も確認します。
たとえば、7月20日に退職する社員へ、
7月10日に賞与を支給した場合です。
この社員は月末まで在籍しません。
そのため、原則として、
7月分の社会保険料は発生しません。
一方、7月31日退職の場合は、
7月分の保険料が発生します。
同じ7月退職であっても、
取扱いが変わるのです。
「退職予定だから控除しない」
この判断は危険です。
退職日を確認してから、
保険料を計算しましょう。
育児休業中の社員へ支給する場合
育児休業中の社員へも、
賞与を支給することがあります。
この場合も、
賞与支払届は提出します。
ただし、一定の要件を満たせば、
賞与の保険料が免除されます。
免除の判断では、
育児休業の期間が重要です。
賞与支給月の月末を含み、
休業期間が1か月を超えるか確認します。
短期間の育児休業では、
免除されない場合があります。
「育休中だから免除」と、
自動的に判断してはいけません。
開始日と終了日を確認して、
正しく処理しましょう。
寸志や特別手当も賞与になる?
「寸志だから届出は不要」
そう考えてしまう会社もあります。
しかし、社会保険では、
支給したお金の名称だけで判断しません。
大切なのは、
何のために支給したかです。
労働の対価として支給し、
年間の支給回数が3回以下なら、
賞与として扱われる場合があります。
たとえば、繁忙期を終えた社員へ、
一律3万円を支給したとします。
名称は、
「繁忙期特別手当」です。
しかし、働いたことへの対価であり、
年1回の支給であれば、
賞与に該当する可能性があります。
一方、結婚祝金や災害見舞金などは、
労働の対価ではありません。
そのため、通常は、
賞与の対象にはなりません。
判断に迷った場合は、
次の5点を確認しましょう。
- 誰に支給するのか
- 何を理由に支給するのか
- 年に何回支給するのか
- 賃金規程に定めがあるのか
- 毎年同じ時期に支給するのか
名称を変えただけでは、
社会保険上の扱いは変わりません。
実際の支給目的を確認しましょう。
年4回以上なら扱いが変わる
労働の対価として支給するお金でも、
年間4回以上の場合があります。
この場合は原則として、
賞与ではなく報酬として扱います。
年間の支給額を月額へ換算し、
標準報酬月額へ反映します。
たとえば、3か月ごとに、
業績手当を支給する場合です。
年間4回の支給が決まっていれば、
通常の賞与とは扱いが異なります。
ただし、支給実績や規程によって、
判断が分かれることもあります。
支給回数だけで決めず、
規程と実態を確認してください。
賞与業務は届出まで終えて完了です
賞与は、社員の日頃の働きへ、
感謝を伝える大切な機会です。
せっかく喜んでもらえたのに、
手続き漏れで慌てたくはありません。
賞与を支給するときは、
次の項目を確認しましょう。
- 対象者に漏れはないか
- 退職予定者はいないか
- 育児休業者はいないか
- 寸志や特別手当はないか
- 保険料計算は正しいか
- 5日以内に届出したか
毎年同じチェックリストを使えば、
担当者が変わっても安心です。
給与計算ソフトは便利です。
しかし、社員ごとの事情までは、
なかなか自動で判断してくれません。
最後は会社側で、
一人ずつ確認する必要があります。
うと社会保険労務士事務所では、
賞与計算や届出を支援しています。
寸志や特別手当の判断も、
会社の状況に応じて整理します。
「計算は終わったけれど、
これで合っているか不安」
そんな段階でも構いません。
手続きの漏れを防ぎ、
安心して夏を迎えられるよう、
一緒に確認していきましょう。
※この記事は2026年7月時点の
制度に基づいています。
制度改正などにより、
取扱いが変わる場合があります。
実際の手続きでは、
最新情報をご確認ください。
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