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【介護離職防止編】これが最重要!「40歳」と「相談時」の新義務、対応漏れはありませんか?

こんにちは。宮崎の社会保険労務士、宇都陽一郎です。

2025年の育児・介護休業法改正について、第2回では「育児支援」の新ルールを確認しました。
さて、今回は今回の改正で最も重要ともいえる「介護離職防止」についてです。

経営者の皆様、40歳になった従業員さんへの情報提供や、親の介護の相談を受けた際の対応は、すでにお済みでしょうか?

「まだ対応できていない」「何をすればいいか分からない」
そう感じている方も、どうぞご安心ください。

この記事を最後までお読みいただければ、会社が新たに対応すべき義務が明確になります。
そして、今すぐやるべきことが具体的に分かります。

1. なぜ今、「介護」の対策が義務化されたのか?

まず、背景を少しだけお話しします。

現在、家族の介護を理由に仕事を辞めてしまう「介護離職」は、年間約10万人にも上ると言われています。
しかし、実は「会社に制度があることを知らないまま」辞めてしまうケースが非常に多いのです。

団塊の世代が本格的に介護を必要とする年齢に差し掛かかっており、今後その子供世代であるあなたの会社の従業員が「親の介護」に直面することは避けられないでしょう。

そこで、2025年4月から、会社から従業員へ積極的に働きかけることが「義務」となりました。

2. すでに対応必須!会社がやるべき3つの新義務

具体的に、会社(事業主)が対応しなければならない新しい義務は、以下の3つです。
順に確認していきましょう。

① 「40歳」の従業員への情報提供(義務)

まず1つ目は、40歳になる従業員への対応です。

従業員が「40歳」になると、介護保険の被保険者となります。
つまり、介護が「自分事」になり始めるタイミングですね。

したがって、会社は従業員が40歳に達した年度(またはその翌年度)に、介護休業制度などの情報を個別に提供することが義務付けられました。

  • 【誰に?】 40歳になるすべての従業員(有期雇用のパートさんなども含む)
  • 【何を?】 介護休業制度の内容、社内の申出先(相談窓口)、介護休業給付金など
  • 【どうやって?】 面談(オンライン可)、書面の手渡し、メール(希望者のみ)など

② 介護の「相談」があった時の個別周知・意向確認(義務)

次に2つ目は、実際に相談を受けた時の対応です。

もし、従業員から「親の介護が必要になった」といった申し出があったとしましょう。
この時、会社は「大変だね、休んでいいよ」と言うだけでは不十分になりました。

なぜなら、その従業員に対し、個別に制度の内容を説明(周知)し、利用する意向があるかを確認することが義務付けられたからです。

事例:宮崎市内で製造業を営むC社長の場合…

ベテラン社員のDさん(50代)から、「実家の父が倒れて、介護が必要になりそうです…」と相談を受けたとします。

  • 【現在のルール】
    C社長は直ちにDさんに対し、会社の介護休業制度などが書かれた資料を渡さなければなりません。
    さらに、「どんな制度を使いたいか」「働き方をどう変えたいか」を確認する面談を行う必要があります。

③ 介護しやすい「雇用環境の整備」(義務)

最後に3つ目は、環境づくりです。

従業員が相談しやすい環境を作るため、以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられています。

  • 介護に関する研修の実施
  • 相談窓口の設置と周知
  • 自社の介護休業の取得事例の紹介
  • 介護支援に関する会社の方針の周知

今回のまとめ(宮崎の経営者が今すぐチェックすべきこと)

このように、介護離職を防ぐためのルールが強化されています。
介護は突然やってきます。
だからこそ、いざという時に慌てないよう、以下の準備はできていますか?

  • □ 40歳になる従業員への「説明資料」は準備できていますか?
  • □ 介護の相談を受けた時に使う「確認シート」はありますか?
  • □ 就業規則に、これらの新義務に関する規定を追加しましたか?

事前の準備が、大切な従業員の「突然の離職」を防ぐことにつながります。

さて、次回はいよいよ最終回です。
2025年10月からスタートした「柔軟な働き方」の新制度と、法改正全体の総まとめを行います。

もし、40歳の従業員さんに渡す「説明資料」や「就業規則」の作成でお困りの点があれば、うと社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。

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